2011/07/30

旅人からの手紙ー9枚目。

      
                "星屑に浮かぶ海"


  
            空の外側に来てしまったのだと想った。
                
         息することを忘れてしまうような見たこともない美しさ
         音を立てれば一瞬で消えてしまいそうな幻想的な景色 

             ここは一面が星の輝きに満ちていて
            隙間から微かに見える青は深く澄んでいた。
               
           ゆったりと星を掻き分けて泳ぐ黄金のクジラと
              一瞬 目が合った気がした。  

        僕はクジラの姿が見えなくなるまでその場所から動けずに
             ただただ立ち尽くしていたんだ。
         
           メモの走り書きの意味は謎のままだけれど
             僕には2つ、わかったことがある。

                   1つ目は
            クジラは星の色に染まったんだってこと。                           
                   2つ目は
        ここを出たら、二度とここには戻って来られないということ。

           だけどもうすぐ、雲羊の群れが僕を迎えにくる。
                 そんな気がする。
               だから戻る前にもう少しだけ
              全身でこの景色を覚えようと想う。

                あの海賊たちよりも君に
                見せてあげたかったな。
 











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